木製のスプーンへロゴを彫刻したい
知人から木製のスプーンに彫刻ができないかという問い合わせがあり、初めてのまとまった数でのオーダーが!いままでは趣味のものばかり作っていたので、少しずつ営業活動もしていかねば・・・ということで手探りながらやってみることにしました。
木製のスプーンへの彫刻にあたり、決めないといけないことがいくつかありました。
・見積もり
・全数彫刻するためにかかる時間
・いくつものスプーンを続けて安定して彫刻できる環境づくり
まず見積もりですが、どうやったらいいのかわかりません。まずは「時間がどれくらいかかるのか」が見えていないとそもそも見積もりができないので、まずは彫刻にかかる時間を計算してみることにしました。
彫刻にかかる時間はレイアウトで大きく変わる
まずは木製のスプーンを隙間なくならべて、ロゴを彫刻した場合どれくらいの時間がかかるのかを計算してみることにしました。
だいたいのイメージで10個を並べ、時間を測ってみると26分。
50本彫刻するとしたら130分。2時間以上かかる計算になります。うわー、ちょっとこれはきつい。(人のお仕事なのでモザイクを入れています)
レーザー彫刻をするときにいつも見ていると、ガイドレールと並行にヘッドが動く場合はスピードが速いのですが、ガイドレールに垂直にヘッドが動く場合はスピードが遅い。
ひょっとしてレイアウトを変えてみたら早くなるんじゃない?と思い、ロゴを横に並べて10面から8面に面付も変更して計測してみました。
すると・・・
なんと6分45秒で8本の彫刻が終わることがわかりました。50本彫刻するのでも約40分。2時間から40分の差はとてつもなく大きい!!
レイアウトによってスピードが変わることがわかり、今回はこの8面レイアウトで進めることにしました。
治具の製作
木のスプーンは軽いため、固定していないとレーザーを当てるだけで位置が動きます。さらに排気の風にも影響を受けるので、そのまま直置きするのはリスクがありすぎる。テープで止めて固定するにしても、口に運ぶものだしできるだけ触らずに加工をしたい。・・・というわけで治具を作ることにしました。
治具によりこんな効果が期待できます。
・一度位置を決めてしまえば次回以降の彫刻の位置決めをさらにする必要がなく、効率化が図れる
・風などでスプーンが動いてしまうことを防げる
そして治具は柔らかくて加工しやすいアガチス工作材で作ることにしました。
【治具の加工パラメータ】
・出力 30%
・速度 5mm/s
材料の使い方としてはちょっと無駄があるのですが、時間のかかる彫刻のスピードを最大限生かせるように加工することとします。
アガチス工作材のカットはすでにある程度経験を積んできたので、これでバッチリ!
カットができました。この中身部分の空間を使います。
この取り出した木も何かに使えないかなあ・・・もったいない。
木製スプーンへの彫刻
今回は初めて木製スプーンへの加工。口に入るものなので、あとで洗浄はするにせよ念入りに加工スペースを清掃しておきます。さらにスプーンを置く場所にも気を使います。
やはりこの治具があると位置決めがとても楽で、やっぱり作ってよかったなと思いました。
あと、スプーンをこのまま置くと彫刻位置が斜めになってしまうので、スプーンの端にゲタを履かせて高さができるだけ水平になるように調整しました。
加工位置をプレビューする際にヘッドを下げすぎてスプーンにぶつけてしまったので、事前にヘッドが干渉しないかを確認するのも大事ですね。
そして加工開始。万一スプーンが飛び出したりしないように、首の部分に抑えを当てて動かないようにしました。
そして彫刻完成!!このあともスプーンを入れ替えて「再試行」ですぐに作業に入れるので、大幅に時間を短縮することができました。
加工一つとっても初めてのものは何かと気を使わなければいけないポイントがいくつもでてきます。
やはり経験がモノを言う部分もあるので、さまざまなものを加工しながらさらに経験値を高めていきたいと思います。
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