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初めての避難を経験
長野県は北アルプスを始めとした山に囲まれているので台風には強い。
ずっとこう思っていました。
実際に台風が長野県内を通過しても「え?ホントに台風来てるの?」と拍子抜けするくらいの状況ばかり。
でも今回は刻々と深刻な状況になっていくのがわかり、初めての避難を経験しました。
避難して初めてわかったことがたくさんあり、ここに情報共有させていただきます。
15:30 大雨特別警報が発令
超大型台風が来ている状況で当然中止になるだろうと思っていたイベントがまさかの実施。
ようやくイベントを終えて帰宅すると大雨特別警報が発令されました。
たしかに長野県では経験したことのないような風と、どんどん強くなる雨。
状況が悪くなっていくのはわかりましたが、急な特別警報に「え?そこまでヤバイの??」と思ったのが実際のところです。
19:00 避難指示が発令
「雨と風すごいね・・・」と言いながら、イヤな予感がして食事と風呂を早い時間に済ませ、次々と送られてくる情報を確認していたところ、千曲川の氾濫危険水位を突破したとのことで避難指示が発令。
避難準備 → 避難勧告 → 避難指示 の順に緊急度が増してくるので、避難指示というのは相当に切迫した状況。
僕の住んでいる地区は千曲川に近い部分から山側まで比較的広い範囲のため、千曲川から比較的離れた我が家は「まあ避難指示とは言っても千曲川に近い人だよね・・・」と考えていました。
すぐ近くの小学校では避難所が開設され、続々と川沿いの人々が集まってきます。
小学校よりも高いところにある我が家はまだ大丈夫と安心していました。
19:00すぎ 菅平ダム緊急放流開始
上田市の水がめとなる菅平ダムが緊急放流をするとの情報。
すでに千曲川の堤防が崩れ始めているとの情報もあり、さらに我が家の前を流れる川は菅平ダムからの水だということも判明。
このとき、2つの理由で避難を決断しました。
・千曲川の堤防が崩れたら、下流域が広い範囲で浸水する可能性がある
→我が家は比較的高い場所にあるけれど、油断は禁物
・家の前の用水路があふれたら、我が家は孤立する
→水があふれても家の反対側や畑など低いところがあるので家まで浸水する可能性は低いものの、想定外の事態が起きないとも限らない
このとき避難を迷いつつも考えたのは「正常性バイアス」でした。
【正常性バイアス】
社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。(Wikipediaより)
「自分のところは高いところにあるから大丈夫」「いままで一度も起こったことがないから大丈夫」というのはまったく根拠のないこと。
空振りでもいいから、万が一の事態に備えて身を守る行動に出たほうがいい。
避難を決断して家族に大至急避難準備をさせました。
避難準備
市のハザードマップである程度避難先は確認していたので、今回はいつもけん玉でも使用している西部公民館に避難することに決定。
持ち物をどうするか、まず考えました。
【避難時のもちもの】
・寝袋
・アルミマット
・着替え
・タオル
・飲料水
・軽食
・マスク
・モバイルバッテリー
・アイマスク
・耳せん
・遊ぶもの(子供がいる場合)
【長期化が確定している場合(今回は持参せず)】
・食料
・ガソリン満タン
・ガソリン携行缶(ガソリン満タン)
・カセットコンロ
体育館などで寝る場合、よく見るのがゴザを敷いてそこに寝ている光景。
座布団などが多少はあるだろうけどきっと寝にくいので、アルミマットと寝袋を持っていくことにしました。
「屋内でキャンプする」イメージで準備するとちょうど良いと思います。
結果的に、アルミマットと寝袋は持参して大正解でした。
とりあえず思いつくものを持ち、車に飛び乗って公民館へ。
このとき、外は暴風の上に豪雨。
あとで話を聞くと時間が経過して天候の状況はさらに悪化していて怖くて外に出られなかった人が多数いたようなので、早い時間の避難は大事だと痛感しました。
【避難が遅れると】
・天候がさらに悪化していざ避難したいときに動けない
20:00すぎ 避難所へ
避難所となる西部公民館に到着したとき、まだ駐車場はそれほど混んでおらず、館内もまだそれほど混んでいない状況。
名簿に名前と住所を記入し、めでたく(?)避難民となりました。
まさか自分がこの状況になるとは。
ちょうど大ホールが開放になったので、中へ。
場所もまだたくさん空いていたので、壁際の場所にアルミマットを敷き、ホッと一息。
次男は早速持ってきた大量のマンガを読んでる。マイペースww
続々と到着する避難者
避難指示が出てから、特に川沿いの人たちを中心に続々と公民館へ到着。
あっという間に公民館は人でごった返してきた。
ちょっと到着が遅れた人は中に入ることができず、他の避難所に行くことになった模様。
【避難を早くしたほうがいい理由】
・避難所の駐車場が限られているので、早くいかないと駐車できない
・避難所の場所も限られているので、遅いと自分の寝るスペースが確保できない
・乳幼児、お年寄りの方も場所によっては部屋を配慮してもらえることがあるが、いずれにしても早いもの順
・受け入れがいっぱいになると他の避難所へ行って下さいと言われる
・場合によっては相当遠い避難所へ行かなくてはいけない
避難が遅かった人は行く先々で受け入れを断られ、情報が錯綜する中で避難所をたらい回しにされ、疲れて自宅に戻ってしまう人も多かったようです。
また、乳幼児や高齢者のいる家では特に避難をためらう方が多く、避難しない方や避難しても遅くなってしまう方が多かった模様。
このとき早く避難を決断していれば、受け入れ先の和室や小部屋などを優先的に割り当ててもらえる可能性が高いです。(もちろん場所による)
いずれにしても早い段階では空いているので融通が効きやすいのだなと感じました。
避難生活開始
大ホールにアルミマットを敷いてまもなく、「トランプやろう!」次男のリクエスト。
次男、オマエはホントにマイペースだなwと思いつつ、みんな不安な中気が紛れる遊びは大事。
トランプやマンガを持ってきた子供たち、グッジョブ。
オトナはスマホで必死に情報見てるけど、子供たちはそうはいかないもんね。遊ぶもの大事。
館内では毛布や食料の配布がスタート。
それでも数は十分ではないので、一瞬で無くなる。
一応軽食は少し持ってきたけど、やっぱり食料あるとうれしいね。
急にお腹が空いてきたので食べたけど、しみじみおいしかった。
非常時はできるだけお腹は満たしておいたほうがいいね。
・毛布(場合によっては寝袋)は配られるが、数に限りがある。
・基本的にゴザを敷くだけなので、床が硬くて痛い。→アルミマット優秀
・食料の配給はあるが、数に限りがある。
→(当然のことながら)すべて配られるものには限りがあるので、自前で確保できるものは持参したほうが良い
終わらない災害
緊急速報メールの音、イヤですね。
22:00頃には千曲川の堤防から越水した緊急速報メール。
いよいよ恐ろしい状況が現実となる。
ホワイトボードには状況が書かれるが、スマホの情報のほうが当然ながら早い。
自分も大変だろうに次々と届く支援物資を配ったり、とにかく忙しい市職員の方々。
本当にお疲れ様です。そしてありがとうございます。
そして恐ろしいほどあちこちで氾濫が発生している事実。
現実のものだと思いたくない・・・。
千曲川も上田市内だけでなく、下流のあちこちで水があふれ出す。
不安な気持ちを抑えつつ、就寝。
起きててもスマホを見ているだけなので、よくないですね。
【寝るときの必需グッズ】
・タオル(枕にできる)
・アイマスク
・耳栓
・マスク
館内は人の出入りのせいか暑くなったり寒くなったりとけっこう気温差が激しい状態。
それほど騒ぐ人がいなくて静かなほうだったと思いますが、それでも照明と音が気になります。
アイマスクや耳栓が役に立ちますね。
そしてマスク。
空気が乾燥して喉が痛くなるので、かなり重宝しました。
5:30 避難所生活終了
朝目覚めると館内はかなり人が減ってきている状況。
夜中のうちにやっぱり眠れないと家に帰ったり、早朝に帰った人がいたようです。
ただ、深夜に一度帰宅を試みた人は暴風で危険すぎてまた戻ってきた人もいたらしい。
早く帰りたくてもここは腰を据えて明るくなるまでいるほうが正解ですね。
そして5:30、荷物をまとめて公民館をあとに。
職員の方は徹夜で対応をしてくれたようで、疲れた顔を見せながらも「もう少しゆっくりしていけばいいに~」なんて言ってくれる。
いや、本当に大変な状況の中ありがとうございます。
自宅に戻ると木製パレットの壁打ちが壊れていたくらいで、大した被害はなし。
川の水もまったくあふれること無くホッと一息。
トマトの棚はひどいことになっていましたけどね。
もうこれで時期がおわるので問題なし。
畑もぐちゃぐちゃだけどまあ被害なかったほうじゃないかな。
避難は早いほどいい
居心地のいい自宅を出て、避難するというのはすごく勇気がいること。
今回避難したものの冠水などの被害はまったくありませんでしたが、隣組で「避難指示があったので避難してください」という連絡があっても実際に避難したのはごくわずかだったらしい。
今回は何もなかったからいいけど、いざ避難しなくちゃいけないときに避難できず、命を危険にさらしてしまうことだってある。
避難は早いほどいい
たとえ空振りに終わっても、早い決断が生死を分けることだってあるということがよくわかりました。
・避難判断が遅れると天候がさらに悪化していざ避難したいときに動けない
・避難所の駐車場が限られているので、早くいかないと駐車できない
・避難所の場所も限られているので、遅いと自分の寝るスペースが確保できない
・乳幼児、お年寄りの方も場所によっては部屋を配慮してもらえることがあるが、いずれにしても早いもの順
・受け入れがいっぱいになると他の避難所へ行って下さいと言われる
・場合によっては相当遠い避難所へ行かなくてはいけない
避難してきたのに、避難する場所がないというのは想像以上に精神的にきついと思います。
それで避難をあきらめて自宅に戻ったらまったく意味がありません。
【覚えておくこと】
・避難所はそもそも地区避難民全員を受け入れできるほどキャパシティ(収容力)がない
避難所の数もキャパシティも限られているので、とにかく早く行動した人が助かります。
空振りでもギリギリまで待つのではなく、早く避難するのが最善です。
今回被災された方ならびにそのご家族の方には心よりお見舞い申し上げます。
また、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
今後もあちこちで起こるであろう災害。
いざとなったときに素早く行動し、命を守りましょう。
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