仕事での一コマ
「その納期なら申し訳ないけどお断りします」
ちょっと気になる電話しているなあと思いながら耳をたてて聞いていた同僚の電話。
ちょっとマユをひそめながら聞いていたのですが、聞いていたのがわかったのか僕に一言。
「・・・というわけでお断りしちゃいました」
僕「・・・」
僕は印刷関係の営業の仕事をしているのだけど、この春から担当エリアが代わり、自分が担当していたお客さんを同僚に引き継いだ。
取引最初のころからのお付き合いということもあり、いいお客さんだったので自分としては寂しかったが、会社の方針であるから仕方がない。
話は少し脱線するが、僕は本当にお客さんに恵まれていて担当しているお客さんは本当に良い方ばかり。お互い仕事をする中でそれがストレスに感じたり、胃が痛くなるというようなことがほぼない。何かトラブルがあっても配慮してもらえることがほとんどなので大きなトラブルになることもない。この点すごく幸せだなと思う。
話を元に戻す。
今回話をしていたお客さんは最終ユーザーと僕の会社の中間的な立場の会社ということもあり、その特徴として短納期案件が結構多い。
納期調整で苦労したことはいままでもなんどもあるのだけど、どうにかこなしてきた。
当然物理的に対応が難しい超短納期案件が入ってくることもあるわけで、今回の電話はどうもそれに類する案件らしい。
超短納期案件は来るとたしかに困るのだけど、頻繁に来るのではない限り対応は考えなくてはいけない。
そんなときどうするか。
僕は代替案を考える。
断る前に代替案を出す
物理的に対応が不可能な案件について、そのまま断るのはすごく簡単。
僕は難しい依頼をされたときに考えるプロセスがある。
1.元々のやり方で納期短縮(納期調整)は可能か
2.1がダメなら別の方法で似たような仕様のものができないか
3.2がダメなら別の方法でとりあえずの目的を満たせるものができないか
4.3がダメならとりあえずできる方法で最低限必要な数を用意できないか
もともと印刷機を動かしてつくるものである場合、材料(紙)がなかったり、印刷機の予定がいっぱいで仕事が入らないことはある。
他の方法で同じようなものができるのであれば、それでいい場合がある。
オンデマンド印刷であったり、外注さんにお願いしたり。
仕様もズバリ同じものでなくても、お客さんが「それでいい」というのであれば別の材料(紙)でつくったっていいわけだ。
お客さんだって最終ユーザーから「なんとかしてくれ」と言われた手前、ただ「ムリです」と返してしまっては立つ瀬がない。
それよりもわずかでも代替案をもって返してあげれば信頼関係は維持できる。
つまり
「100%ご要望どおりはムリですが、この方法であればご希望の納期に間に合います」
というような提案をするべきなのだ。
代替案をもって相手にボールを投げ返し、あとは相手の判断にまかせる。
こちらもやみくもに断ったわけではなく、厳しい状況の中で可能性を探ったという実績ができる。
別に計算しているわけではなく、僕はずっとそうしてきたつもり。
そうやって作ってきた関係が簡単に壊されるのがつらい。
できませんと言わない対応
僕が大学を卒業して初めて就職した会社は旅行会社。
その朝礼で毎年唱和(!)させられていたことのひとつが「できませんと言わない対応」。
ムリな要求があっても、とにかく代案を考える。
ヨーロッパに行きたいお客様であれば、直行便がだめならヨーロッパ内の経由便ならどうか。南回りルートは?それもダメならヨーロッパの別の都市に飛んでもらって、そこから電車で陸路移動は?一本早い(遅い)便ならどうか?そもそも海外旅行に行けさえいいという人であれば別の旅行先を提案してみる・・・など。
おかげで簡単にはあきらめない(言い換えればしつこい)性格になり、「できる」可能性を考える思考回路ができた。
ブラックな会社ではあったけど、いまでも自分の考え方の原点がそこにあるなあと思っている。
期待されたらやっぱり実績で返したい
何かを相談される、期待される、というのはやはり光栄なこと。
たとえそれが難しい問題であっても可能な限り応えたい。
「断る勇気が大切」というケースだって当然あるのだけど、やはり「お願いされるうちが華」ということで前向きに捉えたいですね。
しかし断られて・・・お客さん大丈夫だったかなあ。心配。
(ちょっとブレイク)
「代替案」・・・てなんて読みますかね?僕はずっと「だいたいあん」と言っているのだけど、勤めている会社では9割が「だいがえあん」と言っていて、逆に「だいたいあん」がおかしいかのような言い方をされるんですよ。
後者が読み違いだと思っているのですが、やがて辞書にも「だいがえあん」が正しい読みとして登録されてしまうんでしょうかね?
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